中学を卒業して以来何十年も会わなかった同級生が、去年突然会いたいと連絡があった。

主人をすでに亡くし、自分も癌で、入退院を繰り返していると言っていた。

 

今まで通りの仕事は出来ないけれど、ぼんやりしていると迫ってくる癌の恐怖に

不安が広がり眠れなくなってしまうという。

だから誰もやりたくない仕事でもいいから自分の出来ることはしたいと言ってきた。

 彼女の体調を考えると、なかなか望むものが見つからないのが現実。

それでも時々、これは、と思うものが見つかって情報を教えてあげたが

心と体は別で、働くまでに至らない。

そんな時、穏やかな口調の向こうに不安と自分の死を意識をして

じっと耐えている顔がそこにはあった。

 

最近になって、週に一日程度のこの仕事ならと思うものが見つかった。

すぐに家に電話をしたが出ない。

友人に携帯を調べてもらい電話しても出ない。

嫌な予感だった。

 

一昨日、やっとの思いで娘に連絡がとれた。

癌の再発で入院中だと分かった。面会も出来ない状態だという。

 

今夜、娘からの連絡があり、昨日容態が急変して亡くなったという。

 

彼女に「私のことを忘れないでね」と言われているように

私は彼女を追っていた不思議さを感じる。

数少ない友人に連絡を取り、明後日がお通夜である。

 

死の不安と闘っていたあなたは、きっと怖かっただろうし寂しかっただろうし、

他人には分からない痛みもいっぱいあったことだろう。

 

人は人である限り必ず最後は来るけど、またいつか空の上で逢いましょう。

大丈夫、もう少し経てば空の上で同窓会が出来るからね。