本来なら病気を治すはずの医者でも、人には変わりない。
どんな職業であれ、どんな環境であれ、悩みはそれなりについてまわる。
女医ともなれば、実はまだ医者の世界は男社会なので、自分の位置を保持するのは大変だ。
常に勉強をし、研究をし、留学を重ね、学会での発表も自分のキャリアに箔をつけることになる。
なお且つ病院ならば、病院での委員会等に積極的に参加し病院への貢献度を図られる。
なまじ高給であっても、それなりの体力・気力を要求され精神的に大きく消耗する。
家に帰れば主婦であり母である。
子供との接触が少なく、母は自分が頑張っている姿を基準にして我が子を見てしまうことがある。
子供は子供の世界があり、悩みを抱えている。
自分の最も愛する母親に甘えて抱きしめてもらえない時に、子供は心が折れる時がある。
そんな時、悩みの原因の本当のところは母親にあるのでメンタルケアは実に困る。
子供はウツで入院。
母は家庭がバラバラと崩れて、ウツになり入院。
医者は医者としてのプライドがある。
でも、今自分の目の前に起きている現実を素直に認める勇気がないと全てを失う。
残念ながら全てを失うことを分かっていても、
柔らかなメンタルケアを受け入れようとなかなかしない。
本人はまあしょうがないとしても、子供のことはどうするの。
実は一見華やかに見える職業の影にそんな話しは沢山あるのが現実。
メンタルケアの仕事は、その奥深くまで考えなければいけない大変高度な人間性を要求される。