私も実はIT業界に身を置いて仕事をしていた時期がある。

システムエンジニアやプログラマーの集団であるIT業界は常に花形の業界であった。

日進月歩に変わる開発技術についていくためには、常に新しく生み出される開発言語なる

コンピュータ言語をマスターしなければならない。

 

なお且つ、開発依頼先の業務を理解しなければ設計も開発も一歩も進まない。

そんな中で厳しい業務に付いてこれない技術者はあとをたたない。

結果、潰れて退職、転職、引きこもり、自殺と花形の裏の影はあまりにも虚しい。

 

本来ならば会社とは人材でもっているのだから、社員に対する心の部分を大切にしなければ

会社がこのきびしい時代に発展することなど不可能に近いと思う。

 

私の知っている優秀な技術者も一週間前に会社を退職した。

 

実はIT業界と言っても、社員数からすると規模の小さな所が多いのが現実である。

小さな会社は残念ながら、エンドユーザーからの仕事を直接受託することは難しい。

 

エンドユーザーからの一時請けはコンピュータメーカーとなり、次に関連会社のソフト開発会社が請け皿となり

そこで間に合わなければ、やっと小さな会社に応援依頼のような形で仕事が振られる。

振られた仕事が自分のところで手に負えなければ、仲間に協力を求める。

 

流れが変わるたびに工賃である単価がどんどん落ちていくのである。

まさしく建設業界のゼネコンと下請けの職人との関係で成り立っている世界と全く同じである。

 

IT業界の技術者は自分の能力の壁によくぶつかり、ウツになる傾向が非常に高い。

大手IT会社は当然のごとく産業医もいて、精神的ケアにも気配りをしてより良い技術開発に専念している。

それだけ福利厚生にお金をかけれる余裕があるということになる。

 

ところが大多数である小規模経営の技術集団の会社は、最後に請けている請負金額があまりに小さく

とても社員のために福利厚生としてメンタルヘルスにお金を使う余裕など無い。

それが現実である。

 

むしろ極端な話し、この不況下においては技術者よりも経営者自身がウツ状態の会社も多い。

本来、日本を引っ張っていく最先端の技術集団がそうした過酷の世界で

うごめいていることを知ってほしい。