私は「ウツ」とカタカナ明記している。

私の若い頃は、そもそも「ウツ」なる言葉が無かった。

 

いろいろ改めて考えてみると、仕事が多忙で責任が重くのしかかり辛い日々が続いた時があった。

あの頃は夜も眠れず、睡眠不足のまま車を運転し、たまらず路上停車して仮眠した覚えがある。

食欲もなく、毎日が不安感だった。

 

誰に相談しても自分の問題なので解決は無いと思っていた。

とにかくやりとげようとする気持ちを維持するのに精一杯だった。

 

今考えたら、あれは今でいう「ウツ」の状態であったのだろうと思う。

 

そんなことは親にも同僚にも言わなかったし、仕事とはそういうものだ、社会人とはそういうものだと思っていた。

家に帰ると、気分転換に深夜の映画館に通った。

そこは自分とは別世界が広がっていて、帰りは気分も歩き方まで変わっていたものだ。

早く仕事が終わった時は仲間と一緒にドライブに出かけたり、

ボーリングに興じたりして自然と自分をコントロールしていた。

 

それに、不思議と仲間同士、仕事の愚痴を言ったりすることはなかった。

それよりも、いかに自分はこうかという抱負を語ったり、大きな声で歌ったりをしていた。

 

毎日が生きているという実感だった。

どうせ死ぬということが分かっているから、今を楽しく生きて、

やることはやろうというみんなそんな気持ちでまとまっていた。

 

だから、多忙だったあの頃、自分は「ウツ」であったかも知れないが自然と自分を取り戻していた。

疲れてヘロヘロであったが、逆に仕事を自分がしているという感覚になっていたのかも知れない。

 

「ウツ」は自分の中で作られている。

最近は心療内科や精神科で「ウツ」と診断される。

自分は病気なんだと思い込みの病気モードの生活パターンと精神的な落ち込みに入る。

 

医者が病気を作るという本が出ているが、

メンタルにかかわるものも自分の弱さから逃げ出すことによって

「ウツ」の世界に入ってしまう人も多いと思われる。