私は自分では無口な方だと思っていた。
でも誰もそれを認めようとしないし、こいつはきっと自分のことを判断出来ないアホだと決めつけてくる。
私は三日休みがあるなら、外にも出ず家にいて誰とも話さなくて平気である。
そんな自分を無口な男と決め込んでいた。日本男児らしく凛々しいとも思っていた。
だから私は無口な男であると理路整然に説明をするのだが、誰もが一人の時は無口だと笑い者にした。
私の長い人生での自分の性格分析を完全否定されたあげくに大笑いまでされた。
いつの間にか、知らない人と話し込んでいる私を見て逆にそんな人もいないと否定された。
私は非常に頑固であるが、壁が薄いのですぐ崩れてしまうタチである。
いつの間にか自分は本当は無口では無いという人間なんだと納得されてきた気がする。
いつも私は一旦は自分なりの主張と反旗をあげるのだが、
たいていが食事をもらう犬のようにシッポを振ってにっこり笑顔までしてしまう。
完全に自分が無いように見えるのだが、本当に無いのだから仕方がない。
そうやって今まで何とか生きて来れてきたから
薄い壁とシッポはまだまだ使いながらメンタルの道を歩くことになるのだろう。