54歳の男性が就労相談に来た。
優秀な大学まで出たけれど22年前に会社のトラブルに巻き込まれ退職することになり
以来家に引きこもり、20年前に医者に心身症と言われ、次にウツと診断されたという。
今だ世の中に出るのが怖くて22年間も引きこもりを続けているという。
社会に出ることもなく20年間医者だけに通って独身で54歳になってしまった。
特殊な技術系を持つ彼はしっかりしていた。
それでも社会に出ることが怖くなってしまうという。
会社のトラブルがフラッシュバックして来て、自分に全く自信が持てないと言う。
心療内科に通って20年。薬を飲み続けてきたけど何も変わらないと嘆く。
医者とは5分程度のやり取りだと言う。
医師としては間違ってはいない。経営者としての医師とししてはうまく患者をこなしている。
私と話した内容は医者と話したことありますかと聞いた。
案の定、20年間通いづけていたけれど一度もなかったという。
それが残念ながら精神科・心療内科の実態の一部分である。
彼は障害者年金を二カ月に一度で8万くらいもらい、月約4万円くらいで生活している。
その貴重のわずかなお金の中から自分を社会復帰させたくて私のクライアントになった。
彼は帰りがけに、「人生の中で今日が一番自分のことを話したと思う」と語った。
自分を支えてくれる誰かがいることによって、人は挫折しても立ち上がれる勇気をもらえるものだ。
それだけ人とはガラスのような存在で、微妙なバランスを保ちながら生きている。