登戸の無差別殺傷事件は悲惨だった。

社会に背を向けた完全なる確信犯である。

自分の罪の深さを知っているから自殺をしている。

道連れ殺人ほど質の悪い物はない。

被害にあい亡くなられた方へのご冥福と、傷を負った方々へのお見舞いを申しげます。

 

カウンセラー的にみると、犯人の愚行は突然のものではないはず。

以前から短気で荒れた性格という話も出ている。

当然社会の常識人からすると傍迷惑な人間だったに違いない。

自分の感情を爆発するように外に出すのは、始めから自分は受け入れられない人間という

否定感を背負って生きてきていると察しられる。

 

内閣府が3月29日、初めて発表した満40歳~満64歳を対象にした

引きこもりの調査結果に、中高年の引きこもり数が61万3000人という驚きの調査結果が出た。

何となくサラッと流された調査結果だ。

 

そんな相手に、社会は大人なんだから自分の身の始末は自分でやりなさいという目線でみている。

仕事も社会保障制度もあるはずだから、その気になれば日本では十分生きていけるという基本的な考えがある。

問題は引きこもりでメンタル不調でない人はいないことだ。

自分で歩くことに、その気になれない人ばかりだ。しかしこの人達に社会は手を差し伸べていない。

むしろどうしたらいいのかのすべを知らないと言っていいかも。

 

大きな社会問題であるはずなのに多くの人は耳をふさいでいる。

簡単に人の性格を変えることは難しいことだと分かっているからだろう。

引きこもりの多くは経済的に追い詰められて生活をしている。

精神的に悲惨な状態の毎日が続き、追い詰められている。

第二の登戸事件の予備軍が大勢いると言っても過言ではない。

 

援助や支援に落とし穴がある。必死に手を差し伸べてもなかなか思うようにいかない。

社会に背中を向けているそのことの根源をいかに理解するかが、重要になってくる。

背中を向けているのを、まずは前に向いてもらうのに相当な努力と忍耐も必要になる。

すべてがそれからの話である。現実には、前に向かせることが出来ていないため、

うまく対応出来ない結果となっている。

 

人の心の本質を理解するのには、個々の生い立ちからくる特性をいかに理解するかにかかっている。

この社会問題は精神的な見えない問題のため、いつも遅れをとることが事件性につながっている。

こういう事件が起きるたびに事前に何とかならなかったのかと心が痛む。

 

       心療対話士協会 石井利幸